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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

私の一週間

 少し加筆修正しました。(2月1日)

 毎日、ブログを更新している人たちが多くいます。私など毎日はとても無理だし、それぞれのなかに家族や女性の労働、ジェンダーの話題を入れようと思っているので、余計難しいです。21日のセンター入試以降、あまり更新できなかったのは風邪をひいたわけでもなく、ただ単に時間がなかったんです。

23日月曜日
 学生の保育園実習の事後指導他、諸々の事務仕事をした後、夕方からエレクトーンの練習をして、門限まで大学にいた。

24日火曜日
 朝9時半からミーティングを2つ入れた。終わったのは20時。8時間ほど喋り続けた。1つ目は新潟、埼玉から、2つ目は名古屋、大阪から研究仲間が京都に来てくれた。ありがたい。
 この2つの仕事は、今年の私にとってたぶん大事な仕事になると思う。前者には委託研究費が付きそうだし、後者は年末、きっと1つの形になるはず。
 名古屋のKさんがお弁当を差し入れてくれたので、「晩御飯は要らない」とパートナーのSさんに電話をした。でも、京都のマンションに戻るとカレーができていたので、少し食べた。

25日水曜日
 Sさんは朝、大学に向かった。きょうは大学泊。私も大学へ。
 新ゼミ顔合わせ、児童学科会議、家政学研究科会議、発達教育学部教授会、大学自己点検委員会・・と会議が続いた。まるで“学級委員を決めるみたい”に簡単に学部長が児童学科主任N先生に決まった。一番驚いたのはご本人だったに違いない。最後の会議が終わって外に出ると、眩暈がした。ちょっとやばいなと思ったけど、ドラムのお稽古に行った。
 昨日のカレーを温めて食べた。シラバスの提出期限が過ぎた。まだ2科目しか書けていない。

26日木曜日
 2月24日に開く音楽講座の準備のため、阪急電車に乗って西宮北口へ。大阪音大講師、M先生のお宅にお邪魔した。途中十三で乗り換えたときに、蓬莱のブタまんを買って電車のなかで食べた。5時間もの間、エレクトーンの操作方法と新ネタについて聞いた。頭がパンクしそうだが、M先生のお陰で少し自信がついた。夜、Sさんが京都に戻ってきた。

●何時にくるの 私は西宮北口
●ひかり今乗った1943京都駅。Date: Thu, 26 Jan 2006 19:09:16 +0900
●私のほうが遅いかも。伊勢丹の地下でなにが買ってきてくれないですか。十三で買った豚まん一個はある。後はじゃがいも・人参・肉がある
●買った ご飯たく必要あり
●冷凍庫 >ご飯たく必要あり

 中年の恋人同士? 
 共同生活をする中年男女?
 中年の別姓事実婚カップル?
 いえいえ、中年のパートナー婚カップルです!
 「私」と言わない限り、性別もわからないですね。


27日金曜日
 教学課に11科目分のシラバスを送信した後、下京税務署へ。東京の音楽教室の納税を済ませ、3人の講師さんの源泉徴収票を作成した。その足で京都駅へ。
 時間があったので、伊勢丹のKomatsuでサンダルを買った。
 東京の自宅に着くとパソコンの調子が悪くて2時間ほどロスをした。時間がないときに限ってこういう事故が起きる。

 近日中に、2006年版シラバスをアップロード予定。(2月1日、アップロードしました。)

http://www.ongakukyouiku.com/kyotowu/syllabus.html

28日土曜日
 途中休憩を挟み、朝10時過ぎから夜9時半までピアノのレッスン。
 大学教授になった今も、受験指導などではなく普通のレッスンを続けるのは、幼い子どもたちとかかわり続けることで実践力を失わないようにしたいから。春からは「アートを中心とした学童クラブ」も始める予定。
 夜にレッスンに来る高校生たちからは、今の空気を嗅ぐ。
 入試にまつわるチョコ(お菓子)のジンクスを聞いた。
●チョコは溶ける 問題が解ける
●うカール、受か~る カール
●キットカット きっと勝つ
●コアラのマーチ (木から)落ちない
 高校生になっても趣味でピアノを習っている子は例外なく勉強もできる。

29日日曜日
 文部科学省から委託されたウェブサイトを使った指導案を作成した。秋に作った以下の2つ以外に、一日で4つ考えた。
http://www.ongakukyouiku.com/2005_10_30/sidouan.pdf
 気づくと深夜3時。

30日月曜日
 きょうは久々のオフ。ベルリン在住の音楽家&西洋占星術師、小瀬泉さんが一時帰国。我が家にやってきた。


メロディベルとジェンダー・フリー

 「ジェンダー・フリ-という言葉を使うかも」という危惧があるという理由で、上野千鶴子東大教授が、国分寺市の「人権に関する講座」講師を拒否されたことについて―。
 26日朝、「言論・思想・学問の自由」への重大な侵害として東京都に抗議する「公開質問状」への署名のお願いがメールで回ってきました。

http://www.cablenet.ne.jp/~mming/against_GFB.html

 締め切りは1月26日正午。私が署名したのは26日の夜だったので、間に合わなかったかもしれないのですが、1808件の署名があったそうです。
 

 ジェンダー・フリー教育の実践、活動等の具体例の一つに、黒や赤などのランドセルの色を家庭が選択することを禁止し、「女男ともに黄色いランドセル」といった、統一色を要求する、というのがあるらしいですが、ここで問題。

 メロディベルという楽器で幼児と音楽活動をするとき、一番人気は何色でしょう。

ファイル 84-1.jpg

 正解は男女を問わずなぜか水色。私は発色がいいのでオレンジが好きだけど。
 友人の音楽教育学者が「水色が取り合いになるよ」と言ったときは信じなかったのですが、実際に水色が取り合いになるという経験をしました。
 ドの赤を取ってくれる子がいなければ、「かえるのうた」も「きらきらぼし」も始められないのに・・・・。


リスニング試験もサウンドスケープ

 きょうは大学入試センター入試の監督をした。
 超夜型の私は、早起きの日はいつも睡眠不足。きょうもたった3時間半しか寝ていない。
 全国の大学でトラブルがあったという英語のリスニングテスト。朝の9時30分からぶっ通しで試験をして、最後がリスニングなので、受験生も監督もクタクタだ。睡眠不足のせいか、ICプレーヤーの入ったボールを二段重ねにして運搬中に、階段でつまづきそうになってしまった。冷や汗が出た。

 全員がICプレーヤーを再生させて5分ぐらい経ち、トラブルは回避できたと思ったとき、窓越しに京都タワーが見えた。「この教室はなかなかいい眺めなんだな」と思ったら、今度は鉛筆を落としそうになった。

 大音量が好きなのか、耳の穴に隙間があるのか、ほんの微かに音がもれている子がいる。数秒違いで同時進行しているので、問題冊子をめくる「サッ」という音がほぼ同時に聞こえる。サウンドスケープとしてもなかなかいい。

 私の大学は女子大なので受験生も全員女子。半数近くの子が休憩時にチョコを食べていた。チョコを一粒でも食べたら、もうちょっと頑張ろうという気になるんだろうな。チョコ好きの私と同じ。

 現役で早生まれの子は昭和63年生まれなんだ!! 来年は平成生まれの子が大学に入ってくるんだな。ついこの間、小学生に昭和生まれはいなくなったと言っていたのに・・。

 ICプレーヤーは“お持ち帰り”が原則だが、机の上に残して帰宅する受験生もいた。
 一人の受験生が「音声メモリーだけ持って帰っていいですか」と寄ってきた。メディアとして再利用できると思ったのかもしれないが、再利用できないことがわかると「要らない」と言って帰ってしまった。
 あのICプレーヤーとその附属品、いったい一セット幾らなのだろうか。勿体ないよ。

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 今年から新たに英語のリスニング(聞き取り)テストが導入されたが、ICプレーヤーの故障などのトラブルが相次ぎ、同センターの午後10時のまとめによると、全国で425人が再テストを受けた。同センターは今後、メーカーに原因を分析させる。

 トラブルがあったのは、東京大や東北大、北海道大、京都大など。再テストの対象者は本試験の終了後に再テストを受け、音声が聞こえなくなったところから改めて解答した。

 トラブルの主な原因は、▽途中から音声が聞こえなくなる▽声が大きくなったり、小さくなったりする――など。東京大では、7人が機器の故障などの理由で再テストとなった。北海道大では、5人の受験生から「音量が上下して聞き取りづらい」などの訴えがあった。

 同センターの荒川正昭理事長の話「リスニングテストは全体としては、大きな混乱もなく終了したと考えている。しかし、約400人の受験生からICプレーヤーが原因と思われる申し出があったことは遺憾。今後は、原因を十分分析し、トラブルの数をゼロにしていくとともに、操作方法や説明についても改善したい」
(読売新聞) - 1月22日0時52分更新


何か今できることをしたい、と言ってはダメなのか

 「女性研究者支援」という単語でブログ検索して、東北大学教授の大隅典子さんという方のブログ「大隅典子の仙台通信」をみつけました。
 医学者であり、男女共同参画などに関する委員もしている大隅さんは、2005年12月19日のブログで次のように書いています。
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 私はやっぱり「ジェンダー」という言葉が胡散臭くて嫌いである。「フェミニズム」も大嫌いである。
 ただし、もし、家庭と仕事の両立や、子育てや介護で大きな負担を強いられ、そのためにキャリアを諦めるような女性が、現実に、多数いるのであれば、その人達のために何か今できることをしたいと、心から思う。
 あるいは、「女の子だからエンジニアになるのは無理かなあ?」と思う中学生に、「なりたいものになっていいんだよ」と背中を押してあげたいと思う。
 それはすでに一山超えることができた人間としての務めだと考える。
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 これに対して、次のような書き込みがありました。
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 「何かできることということ事態他人事であって、真に男女共同参画を考えていられなかったことが伺われます。大隅先生のこれまでの境遇を考えるとあたりまえなのでしょうが。たくさんの役員を引き受けられてたいへんだと思いますが、頑張ってください。」
 「(上記の)コメントに、正直、唖然としてしまいました・・・現実に「多数」いるからこそ、やっと、ジェンダー問題として、皆が考えなくてはいけないと、表面化してきたと私は認識しています。自分のキャリアのためには、子供を早く産みすぎたと、私は思っていますし、男社会の壁は、まだまだ厚く、自分の生き方を悩む日々です。」
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 大隅さんのコメントに解説を加える人も出てきました。
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 「ただし、もし、家庭と仕事の両立や、子育てや介護で大きな負担を強いられ、そのためにキャリアを諦めるような女性が、現実に、多数いるのであれば、(勿論私はそう考えている。だからこそ)その人達のために何か今できることを(責任ある研究の傍ら、今の状況ではこのようなかたちで男女共同参画に携わることしかできないけど、精一杯努力)したいと、心から思う。」と受けとめました。
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 こんな状況では、怖くて何も書けないなぁ。読んでいて私は“心から”そう思いました。

 「女性のジェンダーに背いている」存在だとは思っていません、と理科系の大隅さんは書いています。医科系の大学を中退して音楽に道を変えた私も、自分自身を「女性のジェンダーに忠実な」存在であるとは思っていませんよ。(音楽の世界では女の作曲家が少ないことが当面のジェンダー問題とされています。)

 「女性研究者」もさまざまです。
 私たち音楽教育家のなかでは、これまでポスドク(博士号は取得したが,正規の研究職または教育職についていない者)は存在しませんでした。最近東京芸大を中心に博士課程の学生を多くとるので、これからは出てくると思いますが・・。つまり修士号だけで正規の研究職または教育職に就けたのです。

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 WEDGE(2006年1月号)に早稲田大学教授の長谷川眞理子さんが次のように書いています。
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 「大工として、男女を問わず能力があれば採用する」としても、伝統的に「女は大工に向いていない」という考えで教育し続けていれば、大工になりたい女性がいても、途中でその望みはつぶされるかもしれない。それを跳ね返して望みを達成しても、不利に扱われるかもしれない。集団全体として見たときに、大工になりたい女性や、向いている女性は少ない、ということが実際にあるとしても、それはどうでもよいのである。『たった一人』でも大工になりたいと思い、それに向いている女性がいたときに、「女性であるから」という理由で彼女が不利になるのは、一種の人権侵害だということだ。子育てをどうするのか、家族はどうなるのか、などといった問題は、まず人権をどう考えるかを決めてからの問題である。
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 子育てや家族と、個々人の人権と自由とを両立させることは、“生物学での大発見”よりも、“超人的な演奏”よりも困難なのかもしれません。
 大隅さんほどではないにしても、すでに“丘”ぐらいは超えた私も、『たった一人』のために応援していく務めがあると思っています。

「大隅典子の仙台通信」の2005年12月19日のブログ
http://nosumi.exblog.jp/2396506


受験のときの記憶がよみがえる季節

 昨日、夕方18時台の会議を忘れてしまった。
 夜、女坂を歩いていると、その会議の委員長Y先生(歌手、矢井田瞳さんのパパ)が近づいてきた。

 「深見さん、どうされたのですか。今会議終わったんですけど」
 「ひぇーー」

 20日締切の卒論指導と厚生労働省の指導調査対策などに気をとられていたせいか、2、3日前からすっかり忘れてしまっていた。

 きょうはきょうで、センター入試の事前打ち合わせ会。英語のヒヤリング試験導入のために例年以上にみんなナーバスになっている。
 29分間のヒヤリング中、再生機はストップできないので、トイレには原則として行けない。そう思っただけで私などはお腹が痛くなってくる。

 何十年経っても受験のときの記憶は消えないものだ。
・高校入試のとき、アガっていて最初の国語の試験で一分間ほど目がかすんだこと。
・京都府立医大の国語の試験で、解答を書く欄を間違えていることを試験終了間際に気づき、訂正しようとしたが間に合わなかったこと。(結果、不合格)
・国立二期校の東京医科歯科の試験で、敗者復活をかけ東京駅八重洲の地下街の薬局で最も値段の高い栄養ドリンクを買って飲んだこと。
・24歳10ヶ月で受けた共通一次試験で、後ろの受験生に「君、現役?」と言われ、惨めな気持ちになったこと。
・東京芸大のピアノの試験で、変ニ長調・変ロ短調のスケールを指定されてから30分ほど放置されたため、指遣いがだんだんと不安になり、手には脂汗がにじみ、泣きそうになったこと。

 きょうの打ち合わせ会、16時~17時45分の予定だったのに他の会議が遅れていて、16時20分にスタート。終わったのは19時だった。
 「この後予定があるので早く終わってくれないか」と少し苦言をした男性教員がいたが、もし19時に保育園にお迎えに行かなければならない教員や職員がいたらさぞかしイライラしたことだろう。

 子育てや家庭のために没頭する仕事を途中で終わらせるのもつらいが、居たくもないのに抜け出せないのはもっとつらい。


女性研究者支援モデル育成

 文部科学省が1月1日付読売新聞朝刊、「幼稚園が義務教育に」のニュースを5日付で否定した。私が所属する児童学科にとっては重大な問題なのに、私は11日の教授会で学部長が話すまで知らなかった。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/01/06010501.htm

 13日の「少子化対策で出産無料化」も安倍長官らが即座に否定したらしい。
 どうしてこんなに勇み足になるのだろう。

 こうしたニュースと比べると、恩恵にあずかる人も関心のある人も少ないためにあまり注目されないが、昨年末、12月27日に興味深い施策が出た。「女性研究者支援モデル育成」がそれだ。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/12/05122702/008.pdf

 1研究機関、2000~5000万円。私がいる発達教育学部(短期大学部を含む)に関しては、すでに女性教員の割合が50名中14名、28%(それぞれの人が、ピアニスト、声楽家、カウンセラー、児童文学者、民族音楽学者、家族社会学者などなど、えらく“濃い~”ので実際はもっと多いように感じる)。政府の目標値に達していることもあって、女性研究者の冷遇よりも若い事務職員が非正規雇用者であることのほうがずっと気になる。
 大学という組織は研究者だけで成り立っているのではないのだから! 


隣家の一人暮らしのお爺さん、倒れる

 一部、修正・加筆しました。

 昨日、私の家の前に救急車と消防車が止まった。救急隊員が足早に家の横の路地を通り抜け、奥の家に入っていった。そこに住む一人暮らしのお爺さんが倒れたのだ。意識ははっきりしている。たぶん自分で通報したに違いない。

 このお爺さん、以前は息子夫婦と孫の女の子2人の5人暮らしだったが、息子夫婦一家は何の挨拶もなく数年前にいなくなった。息子夫婦がいた当時、奥さん(おそらく専業主婦)が近所のコインランドリーで洗濯しているのをみかけたので、初めは自宅の洗濯機が壊れたのかなと思ったが、そうではなかった。一年中コインランドリーを使っていたのだ。

 何を洗っていたのかな。そのお爺さんの洗濯物だけ別に洗っていたのかな・・。本当のところはわからないが、そうした想像をしてしまいそうになるほど、このお爺さんは家庭内で孤立しているように見えた。

 息子夫婦一家がいなくなってから、そのお爺さんは回覧板の受け取りも拒絶するようになったので、私たちはもう一軒奥の若い独身建築家Nさんの家に渡しに行くことになった。外で働く人間たちが地縁を壊したと言われるが、地域社会を鬱陶しいと思う高齢者も増えている。

 高齢者ばかりではない。主婦にもそう思う人が増えている。南隣の家は、京都との二重生活をしている私でさえやった輪番の班長を断わろうとした。結局しぶしぶやることになったけれど、「近所と関わりたくない」というのが理由だったと聞いた。

 地縁だけじゃなく、政府が国民の状況を把握する力も弱くなった。昨秋、パートナーのSさんには国勢調査の用紙すら届かなかったですよ。私は京都市下京区民だけど、Sさんはここに住民票があるのに・・。


ほんまにお粗末、読売社説

 少子化でグーグル検索をし、次の記事をみつけました。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060104ig90.htm

 この社説、何を言いたいのかさっぱりわかりませんでした。どこまでがこの社説を書いた人の見解なのか、「教育改革国民会議」の報告書に記載されていることなのかもわからなかったです。

「大家族が多く、濃密な交流が地域にあった時代には、さまざまな大人が子育てにかかわった。核家族化が進むなどし、子どもと接する時間が短くなるにつれ、親は「人生最初の教師」たる責務を果たせなくなった。」~この文章、変ですよ。
 
 1.核家族化が進み、親は自身の子どもの子育てで手一杯になった結果、地域に住む他の子どもの面倒までみる余裕がなくなったのか。
 2.核家族化に長時間労働が加わり、親は自身の子どもの子育ても十分にできなくなったのか。
 3.大家族でさまざまな大人が子育てにかかわっていたその昔、親は「人生最初の教師」だったというのは正しいのか。
 4.大家族でさまざまな大人が子育てにかかわっていたその昔、他の大人がその子どもにとって「人生最初の教師」だった可能性はないのか。
 5.大家族でさまざまな大人が子育てにかかわっていたからこそ、親は「人生最初の教師」たる責務を果たせたのではないのか。

 こういう風に考えること、できませんか。なんだか学生に卒論指導をしているみたいになってきました(笑)。

 新聞社の方々が若者の学力低下を嘆くのは、年寄りが「今の若いモンは!」というのと同じです。今の若いモンでも、もっとちゃんとした文章を書ける人材がゴロゴロいるはず。今大事なのは彼らにチャンスをあげることだと思います。

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1月5日付・読売社説
 [転機を迎えて]「少子時代のリーダー育てよ…道徳心と教師力向上を」
 【大学全入時代の到来】
 人口減、少子化の進展は教育の有り様まで変える。
 文部科学省は、2007年度には大学の全志願者数と、大学が受け入れ可能な入学者総数が一致する、とみている。あと1年で、数字上は希望者全員が大学に入れる「全入時代」が到来する。
 05年度、私立大の3割に当たる160大学が定員割れした。山口県の萩国際大のように経営破綻(はたん)したところもある。
 懸念されるのは、不安定な経営に起因する高等教育機関の質の低下だ。教育と研究、どちらが劣化しても大学に対する評価は低下し、ますます学生は集まりにくくなる。
 生き残りをかけて、安易な入試、多数の留学生依存などに走る大学もある。大学本来の機能に磨きをかけられないのなら、淘汰(とうた)もやむを得まい。健全な競争的環境の中で大学の個性化、特色化を進めねばならない。
 人口は国力だとも言える。「超少子化国」となった日本が、今後も活力を維持し、国際競争を勝ち抜くためには、世界の最先端で活躍できる研究者と、幅広い分野におけるリーダー的人材を育成することが肝要だ。
 読み返したいのが、首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」が00年暮れにまとめた最終報告書である。
 報告書は、戦後教育の平等主義を、「他人と同じことを良しとする風潮は、新しい価値を創造し、社会を牽引(けんいん)するリーダーの輩出を妨げ」てきたと省みる。
 必要なのは、政治、経済、環境、科学技術などの分野で「社会が求めるリーダーを育て、認め、支える社会を実現する」ことだ。決して知識偏重の教育によるエリートを求めているのではない。ルールや道徳無視の為政者や経営者もまた、報告書の“想定外”と言える。
 個々の資質や才能を生かし伸ばせるような初等中等教育、入試改革に加え、高い専門性と教養を併せ持った人材をつくり出す大学・大学院改革が必要だ。
 報告書は、こう提言した。高校卒業を待たずとも優秀なら「飛び入学」で大学に入れよ。3年修了段階で大学院に進めるように。博士号も最短3年で取れるようにせよ――。
 飛び入学は、昨春の入試で5大学が募集し、千葉大など2大学に10人が入学した。今春は6大学に募集も増える。大学院への飛び入学も一昨年度、38の大学で170人の実績をつくっている。
 【豊かな社会性と人間性】
 「創造力、自発性と勇気、苦しみに耐える力、他人への思いやり、自制心を失っている」。当時、報告書が憂えた教育の実態、日本人像は5年後の今も、さほど改善されてはいない。
 教育の原点は家庭にあることを自覚せよ。学校は「道徳」を教えることをためらうな――報告書はそう直言した。
 大家族が多く、濃密な交流が地域にあった時代には、さまざまな大人が子育てにかかわった。核家族化が進むなどし、子どもと接する時間が短くなるにつれ、親は「人生最初の教師」たる責務を果たせなくなった。
 家庭は安らぎの場であると同時に、厳しいしつけの場でもあるはずだ。子どもに豊かな人間性を植え付ける責務は家庭にある。「家庭力」を立て直したい。
 一方の道徳教育は、日本教職員組合などいわゆる“進歩的”勢力からの攻撃にさらされてきた。「戦前の『修身』の復活だ」「心の統制だ」などとイデオロギー論争の的にされた。
 学習指導要領では年35時間と、標準時数が決められている。それを達成しているのは8割の小学校、6割の中学にとどまっている。道徳の副読本や資料、指導方法を充実させて、子どもの正しい自我を形成しなければならない。
 子どもの「学力」は、5年前よりさらに後退している。教職の「権威」も低下している。戦前の師範学校のような教師養成機関待望論すら聞かれる背景には、高い指導力に裏打ちされた、かつての教師の威厳への、憧憬(しょうけい)があろう。
 大学の教授陣も含め、「教師力」の立て直しも、優秀なリーダーの輩出、人間性豊かな日本人育成に欠かせない。
 【教師も「威厳」取り戻せ】
 「博士の愛した数式」という映画が今月封切りになる。小川洋子氏の小説が原作だ。記憶が80分しかもたない数学者から、通いの家政婦と、「ルート(√)」とあだ名されたその息子が数学の真の面白さ、奥深さを教えられる。
 「ルート」は成長して数学の教師となり、赴任校で初授業する。原作にはないシーンだが、博士の思い出を語りながら、「わかる授業」「興味をひく授業」が展開されていく。
 終業ベルが鳴る。その時、自然と生徒の口をつく感謝の言葉――人に教えることの神髄を見るようで胸が熱くなる。
(2006年1月5日1時37分 読売新聞)


子育て・女性支援策続々・・

 新年、さまざまな子育て・女性支援策が出てきたようだ。
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○3歳まで育児手当、6歳児まで医療費無料検討
 政府は4日、少子化対策の一環として、3歳までの子どもを持つ保護者を対象とする育児手当制度を新設し、さらに6歳児までの医療費を全額無料化する方向で検討に入った。育児手当は月額1万5000円を軸に調整する方針。経済力の低い若年夫婦層に重点を置き、財政支援により少子化に歯止めをかけたい考えとみられる。
(毎日新聞) - 1月5日3時6分更新
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 多くの人が指摘しているように、本当にお金がかかるのは子どもが高校生・大学生の頃なのに、未就学児童にばかり手厚くするのは、「とにかく産んでもらう」「後は自己責任でどうぞ」という姿勢ではないかと疑ってかかりたくなる。
 実家があるので毎年お正月はハワイで迎える友人が、今年のお正月は日本人観光客がとても多いと言っていた。日本のセールだってすごい人出だ。
 月額1万5000円、年額18万円、ハワイ家族旅行などに使う若年夫婦が多くなるだけかも!

 もう一つは、女性研究者支援策。
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○出産や育児で活動中断、女性研究者の復帰に奨励金
 政府は、出産や育児で研究活動を中断した女性研究者らの現場復帰を支援する「特別研究員復帰支援事業」を創設する。
 研究者本人に毎月約36万円の研究奨励金と年間150万円までの研究費を支給する。2006年度中に30人を選んで支援を開始する方針だ。
 対象は、博士課程修了程度で、出産や子育てのため研究活動を中断した研究者。大学や大学院のほか、独立行政法人など公的研究機関への復帰を希望する人について、研究中断前の実績などを基準に選考する。支援期間は最長で2年間。
 (中略)政府の男女共同参画白書などによれば、女性研究者の6割以上の人が「出産・育児・介護などで研究の継続が困難」と感じている。大学や研究機関の研究者の採用では、直近の実績が重視されることが多く、育児などで数年間のブランクがある女性研究者の再雇用には不利な状況がある。(以下略)
(読売新聞) - 1月3日18時29分更新
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 この施策、無いよりは有ったほうがいいけれど、女性の能力を尊重したというよりもむしろ、研究を中断した先輩を見て、次の世代の女性研究者が子どもを産まなくなるのを心配して考え出されたような気がしてならないし、記事を書いたジャーナリストたちは、応募書類を作成するには論文1本書くより多くのエネルギーが要ることを知っているのかなと思ってしまった。 


パラサイト・ミドルの再婚・恋愛

 「パラサイト・ミドルの衝撃 サラリーマン 45歳の憂鬱」(NTT出版 三神万里子)という本を読み、自分のことを振り返ってみた。
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 45歳以上が転職や起業の道を選び直したいと思っても、職場環境が感覚を鈍化させる。・・・職業人としての老化が始まる。・・・2000年に45歳だった(1955年生まれ)人々、つまり45歳時の賃金の上昇幅が頭打ちになった。・・・1955年生まれを境にプレ55とポスト55で世代が明確に分かれる。・・・プレ55はプリントメディアに依存し、本に書いていない知識は信じ難いと思っている。
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 最高裁・パートナー婚解消訴訟の裁判相手が、突然私に一通の手紙を渡し、16年のパートナー関係を解消すると言い出したのは、2001年5月、彼が46歳になったばかりの時だった。
 ちょうど1955年生まれの彼は、東京芸大大学院(油画)を出てサラリーマンになり、すでに20年が過ぎていた。美術関連の古書を収集しているぐらいだから、プリントメディアへの依存度は強く、パソコンも携帯電話も持っていなかったし、タイプすらできないので(現在は知らないが・・) 、古書のデータベースを作るといいよとアドバイスをしても聞く耳を持たなかった。
 一方、34歳で大学院を出た私は、女は40歳過ぎると仕事に就けないと言われているのに、39歳でやっと国立大学の助教授になり、2000年前後は不安のカケラもなく、IT絡みの音楽教育関連の仕事をしていた。
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以下がその突然の手紙
http://www.partner-marriage.info/c1.html

 ○○もクチていくばかりでナサけないと思っていただろうけど、まあ、出世はともかく、恋愛面での「生きる力」は残っていたのかと、喜んでもらえる事が、はたしてできるだろうか。
 たぶん深見は現象しか見ないから、○○も小者で俗物だったね、と思うだろうけど、それでもボクはしかたないよ。
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 関係を解消する前の数年、裁判相手は「美術がわかる人間ではなく、経済学部を出たような人間たちの企画が通る」とぼやき、「年300万円の生活費をくれれば、僕は早期退職をして子育てと文庫に専念したい」と私によく言っていた。(当時彼は自分で育てるという私への約束が果たせず、長女は祖母と暮らし、長男は施設にいた。)
 現在の私ならその話に乗るかもしれない。でも、互いに別居であるため、彼が専業主夫になっても私の生活は便利にならないし、当時まだ給料も少なかったので話に乗らなかった。
 もし生活費を裁判相手に渡していたのなら、「共同経済」が認められて、裁判で私が勝ったのかな。そのまま平穏な関係が続き、もちろん裁判にはならず、相手は再婚しなかったし、私はパートナーのSさんとも出会わなかったかもしれない。

 最高裁・パートナー婚解消訴訟は、内縁の成否についてしか論議を呼ばないが、本当は現代社会における諸問題に密接に結びついている。