記事一覧

 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

すべて自分たちでする女子大学

 10月2日
 美容院で女性誌を読むのは私の楽しみの1つです。
 きょうもまとめ読み。
 「Very」「Story」を読みたかったのですが、他のお客さんが読んでいるみたいで、美容師さんは「家庭画報10月号」を持ってきました。
 もっと若い人向きのがいいのに・・と内心思いながら、パラパラとページをめくると“進化する名門女子大学”という特集があって、私が勤務する京都女子大学も載っていました。
 ふむふむ。。特に目新しい記事はありませんでしたが、坂東眞理子昭和女子大学学長の次のコメントにはそのとおりだと思いました。

 「重要決定事項や力仕事を男子が担う共学より、すべて自分たちでする女子大学・・」

 学内に居る男性は教員と事務職員と守衛さんぐらい。下手に男性に頼むとぎっくり腰(!)を患っていたりするので、大きな荷物を運んだり、机を移動させたるするのもほとんど自分たちでやらなければなりません。特に児童学科の学生たちは、重い楽器や人形劇の装置などを頻繁に運んでいます。先日、ある学生にDVD50枚入を2セット渡すと、ばっとカバンに入れました。本人もとても元気ですが、カバンも丈夫みたいです(笑)。

 私も同様。前任校は国立の総合大学だったので、コンピュータや機器の扱いは理学部や工学部、教育学部の情報教育専攻の男子学生に頼っていました。セッティングされたところに、私が登場するということが多かったですが、今はそうはいきません。
 映像が映らなかったら授業ができない、スピーカーから音が鳴らなかったら音楽会が出来ない、プリンタが動かなかったら書類が出せないのです。
 仕方がないので自分でやる。その結果、大してレベルの高いことはできないものの、自分でできるようになる。今のほうがよほど自立していますよ。 


もう1つの辞任劇~最高裁判事・横尾和子氏

 9月7日
 8月24日から二週間夏休みをとって、ヘルシンキ、コペンハーゲン、ストックホルムに行ってきました。その間、日本では福田首相が突然辞任しましたが、最高裁判事の横尾和子さんが、2年余りの任期を残して退官するというニュースもありました。

 この人は「最高裁・パートナー婚解消訴訟」の裁判長なので、私にとっては首相の退陣より大きな衝撃でした。やばくなったら辞める、流行っていますね。辞めりゃいいってもんじゃないですよ。

 社保庁長官時代の基礎年金番号の導入という“大犯罪”に対する追及を逃れるための辞職ということですが、最高裁判事としての“小犯罪”もあるかもしれません。少なくともこの横尾さんには「最高裁・パートナー婚解消訴訟」の当事者男女(女は私)の関係性に対する想像力はなかったと思います。


【正論】屋山太郎 最高裁の判事たる資格を問う
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/175304/≪長官経験者“天下り”許すな≫

 検証委員会は過誤は当初からあったとの認識に立って、昭和37年以降の厚生大臣、事務次官、社保庁長官の名前を報告書に列挙した。これを元に厚労省が遡(さかのぼ)って退職金の返還を求めたり、当事者が責任を感じて自発的に返還することを期待したのだ。社保庁は「返還があった」ことは明言しているが、誰がいくら返したのか、寄付したのか総額についても発表しない。
 こうした空前絶後の“犯罪”について責任を問えないのは現行公務員法の処罰規定がおかしいと断ずるほかない。責任者に“恥を知れ”といいたい。彼らは少なくとも公職から去るべきだ。
 社保庁長官から次官になった者もいるが、通常、社保庁長官は次官レースからはずれた人のポストで、ここで箔(はく)をつけて華麗で重厚な天下り人生が始まる。この中で平成13年最高裁判事に“天上り”を遂げたのが横尾和子氏である。横尾氏は昭和61年に厚生省年金局企画課長に就任し、基礎年金制度改正を担当した。
 引き続いて同氏は大臣官房政策課長を経て、平成6年から約2年間社保庁長官を務めた。基礎年金番号が導入されたのは平成9年1月で、横尾氏は長官として基礎年金番号の導入の検討に参画した。この作業が国民に未曾有の不安を与える“大犯罪”となったのだ。
 その人物が最高裁判事を務めているから、他の社保庁長官経験者が公益法人に天下っていることを咎(とが)められない。横尾氏は最高裁判事を務める資格は全くないと知るべきだ。即刻、辞任を求める。(ややま たろう=政治評論家)


父親・母親でこうも違うワーク・ライフバランス

 6月15日
 AERA2008年6月16日号に、薬害肝炎訴訟に関わってきた弁護士、鈴木利廣さんに関する記事が載っていて、そのなかに、次のような一文がありました。(文 江川紹子)

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 ただし、忙しくても家庭や地域との関わりもないがしろにはしない、という点では先輩人権派弁護士たちを反面教師にしている。
 二人の娘が子どもの頃には、週に2度は夕飯を共にするように心がけ、娘の誕生日には仕事に入れない。娘も学校を休み、一日中一緒に遊んだ。子どもと遊ぶのも全力投球。回転物が苦手なのに、娘にせがまれて遊園地のコーヒーカップに乗り、一足遅れて妻が到着した時には、真っ青な顔をしてベンチに横たわっていたこともある。・・・・(原文ママ)
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 私はこれを読んでため息が出ました。もし父親ではなく、母親だったらどうでしょう。社会は、週に2回しか夕飯を共にせず、娘の誕生日以外は仕事を入れる母親に対して、家庭をないがしろにしていると非難すると思います。
 この鈴木さんが女性の人権派弁護士だったら、果たして、江川さんは同じように書いたでしょうか。おそらく書かなかったでしょう。

 真っ青な顔をしてベンチに横たわっている母親に対して、まだまだ社会は“勝手に目を廻してろ”という視線を浴びせます。熱心に子育て支援をやっている人でさえ、ベンチに横たわっている母親に対して、“休んでいると目が廻るのがおさまります。休んで廻りに甘えましょう。”とは言いますが、自分の体調を優先させて遊園地のコーヒーカップに乗らない母親を容認はしないです。江川さんには、社会のそういった矛盾(これって、最近忌み嫌われている言葉ですが、やっぱりジェンダーの問題なんですよね。。)に切り込んでいく文章を書いていってほしいです。

 ・・・と私がいうと、「最高裁・パートナー婚訴訟の原告」として私をみる人は、「らしい発言だなぁ」と思うでしょう。しかし、私を知る多くの人は、洋服とピアスを必ずお揃いにし、いつも笑顔で仕事をする私と「最高裁・パートナー婚訴訟の原告」がそもそもかぶらないはず。

 得体の知れない、想像を超えた面を持っている人ほど面白いのですよ!


キャンディ好きのおばさん(笑)

 3月27日
 小倉千加子さんが、若い女の子たちに向けて書いた「オンナらしさ入門(笑)」(理論社)を読みました。その中になかなか秀逸な文章がありました。点線以下に書き出したので、見てください。
 ひとつ、「お母さんが手に入れた・・」「お母さんが手には入れられなかった・・」とお母さんについては、“過去形”であることは気になりました。
 私はもうすでに51歳ですが、まだ手には入れられなかったキャンディもつかみたいと思っています。キャンディが入っている瓶の穴から手が抜けれなくなったら本望です。
 少し前、人生50年と言われた時代があったはずなのに、いい歳をして貪欲な人が増えたということなのでしょぅか。キャンディをつかむと手がベタベタするし、食べると虫歯になるし、リスクも大きいのだから、つかみたい人はどんどんつかみに行ったらいいと思います。
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 お母さんの価値観というものは、どこまで独自の価値観なのでしょう。親の期待は重要なものです。
 しかし、「親の目は、世間の目」という諺があるように、親というものは世間の目であなたを見ている可能性があります。親を満足させたいと思っても、親の満足が世間の基準の上に成り立っているのなら、親はあなたを通じて、「世間の満足」に満足しているに過ぎません。親がどこまで世間と一体化しているかということは、女子にとってとても大きなことなのです。
 お母さん、あなたの中にどこまで「お母さん」がいて、どこからが「世間」なの?
 もし、あなたの親が世間の価値観とまったく同じで、そしてあなたが世間を満足させていないのなら、親はあなたに満足しません。親はあなたが世間を満足させていることに満足しているからです。
 「優越」とは、他人に勝つことです。
 「いい成績をとれ」とは「男子に勝て」というメッセージなのに、「女らしくしなさいということは「男子に上手に負けろ」というメッセージでしたね。
 「いい成績」で「いい子」の女子は、男子に勝ちながら男子に負けるという矛盾したことを要求されています。お母さんは、あなたが、成績がよくて、仕事もして、結婚はして、子どもを産んで、女として幸福になってもらいたいと、キルトのように継ぎ接ぎの夢の応援をしているのです。何が幸福か分からないので、とりあえず選択肢を増やしておこうというつもりですね。それが相互に矛盾しているとは思っていません。人生とは矛盾そのものでからです。
 現実には、お母さんが手に入れたキャンディはもちろんのこと、お母さんが手には入れられなかったキャンディもつかんでしまうと、キャンディが入っている瓶の穴からあなたの手は抜けなくなるかもしれません。
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サントリーのお茶のCM

 2月23日
 普通に見ていると気づかないけれど、ちょっと待てよと思ってしまうCMがあります。
 サントリーの「三十丸」というお茶のCMで、森下愛子が言うせりふ。

♪あんたは元気で仕事していれば、それでいい。身体のことを心配するのは私の役目~♪

 以下のサイトでも同じCMが見れます。
http://www.suntory.co.jp/softdrink/sanjyumaru/cm/index.html

 大工、漁師、植木職人として全力を尽くそうとしている女の人だって一杯いるのに・・。女だって、三十品目入った弁当や、“自家製の”三十品目飲料を男に(!)作ってもらいたいで~す。


女子のⅠ種採用減に悩む政府

 1月13日
 政府関係者は、08年4月に入省する国家公務員Ⅰ種試験の女子内定者数が伸び悩んだことに頭を抱えているらしいです。
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 内定者629人のうち、事務系(行政・法律・経済)は301人。そのうち男女共同参画基本計画が「10年度頃までに30%程度」に引き上げることを目標にしている女子は73人(24.3%)にとどまった。昨年は74人(25.1%)に過去最高に達したしていただけに、わずかな差とはいえ、政府関係者の落胆は大きい。
 男子大学生の国家公務員志願者は、官僚叩きによる使命感の喪失や若くして高給が得られる外資系企業への人材流出で急減。子育て支援など働きやすい環境を整備することで、女子を今後の公務員の担い手にと目論んでいる政府だが、思惑通りに事が運ぶかどうかは微妙な情勢だ。(WEDGE 1月号、p.89)
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 国家公務員Ⅰ種を狙うぐらいの女の子たちは仕事のやりがいを重視すると思うので、政府の思惑通りにはならず、これからはちょっとレベルの低い男の子がどばーっと大挙してやってくるかもしれません。
 でも、女の子にチャンスが増えたことはいいことです。パートナーSさんの長女も、男子学生が外資に流出した恩恵を受けたのか、はたまた試験で実力が上だったのか、この73人のうちの1人です。何はともあれ、良かった、良かった。


望ましい家庭像2

 1月10日
 12月30日のノートブックに取り上げた絵について、友人Yさんからメールが来ました。

ファイル 243-1.jpg
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 (顔が描かれていないことについて)
・女性なのでしょうか? 本当はひげづらだったりして。ろくろ首かも。
 ・・・は冗談として
・男のざぶとんは青、女のは赤(けちなジェンダー論ですね)
・立っている女性のざぶとんは・・・遠近法から言って見えなくて当然か。
・この手前の男(多分)のすわっているざぶとんの台形の角度から見て、この絵は遠近法を使っているのでしょうが、そう考えるとこの女性はとても大きな人ですね。
・遠近法など気にしない児童画ということにしているのでしょうが、遠近法を気にしない子どもは、ざぶとんを正方形に書きますし、ちゃぶ台はまん丸に書きます。
・3人が食前に感謝のごあいさつをしているのに、おひつを持ってあるいているのはなぜ? 
・そもそもこの人はあいさつに加わる必要がないってこと?
・この絵は理想の家庭? それともゆるんでいる家庭?
・家庭間の絆も変な言葉ですね。「家族の絆」ならわかるけど。家庭間なら家庭と家庭の間じゃなければいけない。そうするとこの絵とは何の関係もないですね。

 私は、この絵は縦長の絵の上部を切ったものではないかなと想像していたのですが、この立正佼成会の広告に載っている他の絵を見ていくうちに、正真正銘これが原画かもしれないという気がしてきました。

・切ったとすればなぜ切ったのか。
・顔の高さのあたりに都合の悪いものが書かれている。別の宗教関係とか・・。

 Yさんはゼミでこの絵を取り上げ、議論することにしたそうです。結果が楽しみです。 


3人のおひとりさま

 1月1日
 母の家で、母と妹と新年の食事をしました。同じ東京に住んでいても、妹に会うのは半年ぶりぐらい。2006年12月に父が亡くなったので、この一年は多く会いましたが、それまでは元旦の食事会のみでした。
 父が亡くなる前は、親世帯1つと独身娘それぞれの単身世帯2つという構成だったのに、父が亡くなって、70代、50代、40代の独身女性世帯が3つになりました。「お寂しいでしょうに・・と私たちのことを思っている人がいるよ」と私が言うと、「大きなお世話やわ」と2人。それどころか、単身世帯といってもパートナーのSさんと同居している私に、「煩わ(わずらわ)しくない?」と口を揃えて言います。専業主婦だった母は他人と同居することが煩わしいかを考える余地もなかったはずなのにどういうことなんでしょう。
 29歳の春にようやく大学を出た私は、30代の頃は先の見通しもなくて力を蓄積しなければならなかったため、確かに家族やパートナーと同居するのは煩わしいと思っていました。ちょっと心に余裕が出てきた40半ばに出会ったから一緒にいれるのだと思いますが、料理もまったくしない私が、それでも一日に一度ぐらいは煩わしいと思います!!
 
 70代、50代、40代の独身女性が「大きなお世話やわ」と堂々と言えるようになったのは、ほんのこの数年の変化です。これまでは家族とは、寄り添って生きることが1番幸せだという価値観が正しくて、「大きなお世話やわ」という人たちは変人たちだと片付けられていましたから。でも、私の母は、上野千鶴子さんが描くものとはまったく違うところで、「おひとりさま」を生きています。
 
 『おひとりさまの老後』(上野千鶴子、法研)
 高齢者同居率には、実は経済格差がある。下層では、同居したくでも子どものほうにその余裕がない“姥捨て別居”、上層では同居できるだけのゆとりはあるが、あえて別居を選ぶ“選択別居”、これに対して中層では、親を見捨てるにはしのびないが、二世帯を維持するだけのゆとりまではない“しぶしぶ同居”と解釈することができるだろう。もし二世帯を維持できるだけの経済力があれば、親のほうでもすすんで別居を選ぶだろうことは、皇室をみてもわかる(p.21)。「おひとりさま」を選ぶことは、ソリチュード(solitude)の楽しみを選ぶこと。居場所とは「ひとりっきりでいても淋しくない場所」のこと(p.131)。

--------------アマゾン書評から---------------

・結局彼女は「フェミニズム」じゃなくって、単なる富裕層の一人であっただけ。
・シングルのカリスマ的存在である著者が、結局は自分と同じ強い女性の方しか見ていない事がバレてしまった作品。
・自立を勧めておいて、結局巧く行かなかった方に対しては知らん振りでは、無責任過ぎるだろう。
・“馬脚を現す”とはこの事で、フェミニズムを標榜しながら、肝心な点では自身と同じ独立した強くて経済力のある女性にしか目が行かない著者の偏狭な面が露骨に出た一作。
・何もかも自分で切り開き、自己決定し、多くのカネも友人もあるシングルの女性にしか通用しないような気もする。そんなひとはシングル女性の1割もいるのかしらん。 その意味では、一般シングル女性は、『老後がこわい』(香山リカ)のほうが身近に感じるのでは。
・大学教授以外の人が書いたら、自費出版行きですね。
・上野千鶴子って、こんなレベル?っていいたくなりますね。 先頭に立つ人はもっともっと進まないといけません。


望ましい家庭像

 12月30日
 私の親友のゲイが「どう育ち方をしたためにそうなったのか」とよく尋ねられると言っていました。
 尋ねた人たちは、おそらく「虐待されたのだろう」「何か致命的な否定を受けたのだろう」とどんどんと想像力を膨らませているらしいのですが、彼が育ったのは、朝ごはんを一緒に食べて、公務員の両親は共に職場へ、その通り道で彼と妹を保育園に預け、5時には必ずともに仕事を終え、必ず全員で夕飯を食べるお家だったらしいです。
 まさに「教育再生会議」が目指す「望ましい家庭像」!!

 「望ましい家庭像」といえば、数ヶ月前、とても目に焼きついた、立正佼成会の広告があります。この絵の中の女の人の身体が半分に切られているのは、意図的なんでしょうか。ジェンダー関係者が何も言わないのは不思議なくらいです。

ファイル 237-1.jpg 
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妻が専業主婦の家庭に1億円?

 12月19日
 何で毎日がこんなに早く過ぎるのだろう。
 原因1~ゼミ生が20名もいて、卒論の提出締切が12月20日
 原因2~専任教員採用人事 本当に無為な仕事です!
 原因3~予算執行の揉め事と交渉
 原因4~東京と京都との二重生活
 
 原因4以外は解決しました。

 昨日、私の大学のある男の先生が次のように言ったのですよ。
 「夫婦が共稼ぎならば、生涯収入はそれぞれ3億円、夫婦で合計6億円。妻のほうがM字型就労をしたら、5000万円になってしまうので、夫婦で合計3億5000万円。ちまちま児童手当などを支給せず、妻が専業主婦の家庭に1億円ぐらいばらまけばいい。」
 忙しさにかまけて、最近沈下しかけていた男女の問題が、私のなかで再・大炎上しましたよ。


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