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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

一世代で常識が覆る

 新しい年度が始まった。
 どこの大学でも授業料が払えない学生が増えているという。父親のリストラや病気によって生活苦に陥り、預貯金を取り崩すか、祖父母や親戚から援助してもらってなんとか入学に必要なお金は工面できたが、後が続かないという学生たちが少なくないのだ。

 生活が貧困なのは離婚や死別による母子家庭と思う人が多いだろう。しかし、私が知る限り、授業料が払えない家庭のうち一番多いのは「働き手の父親と専業主婦の母親」という組み合わせで、父親が病気かリストラによって失業に陥ったケースである。親は40代後半から50代。男はまさか人生の途中で失業するとは思ってもみなかっただろうし、女は夫の収入は必ず右肩上がりになると信じていたはず。

 何の疑問も持たずに女が結婚退職、出産退職して、「男が社会で働き、女が家庭を守る」という当たり前の生活を選んだにすぎないのに、自分たちが中年になったときにこんな状況になることを予想していただろうか。

 ちょうど私が高校生だった頃、「婚期が遅れるから、女は短大ぐらいにしておきなさい。」と一世代上の人たちが言っていた。京都大学に90名ほど合格する進学校に通っていた私は、直接そういうことを言われたことはさすがにないが、今存続があやしくなっている短大は非常に多く(私が勤める大学の短期大学部は安泰らしいが)、母校がなくなる可能性も高いということになる。

 当たり前の選択や当たり前の人生設計、常識までもが一世代で覆る。一つ一つ自分でよ~く考えなきゃ。

 リストラに遭った中年男性がより条件のよい職に就く可能性も、長いブランクのある中年女性がある水準以上の収入のある仕事につける可能性も限りなく低い。

 でも人生はこれからも果てしなく続く。