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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

 2009年以降のノートブックは、「ワーキング・ノートブック」に移転しました。

養護施設をつくりたいという女性

 前期の私の授業は火・水・木。
 きょうで全部の授業が一巡しました。

 「仕事はたった3日間?」と思う人もいるでしょうが、1コマ90分の授業を10コマ、昨日から今日にかけて会議が4つも! 先週は大学の歓送迎会でお休みしてしまったドラムのレッスンにも行きました。習い始めて10ヶ月、23日日曜日には初めてのライヴです(京都・木屋町のライヴハウス「わからん屋」)。ピアノだと5分でも10分でも連続で弾けるテンポ120の16分音符の連打が、ドラムだとたった2小節で崩れてしまう。ライヴまで後一回しかレッスンがないのに・・

 きょうの3時間目の「保育研究法」では、絵本をラップで読み聞かせ、エレクトーンで効果音をつけました。“うんちをしたら、おしりをふいて”“うんちをしたら、おしりをふいて おみずをジャー!!” 大笑いの授業でした!
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 5時間目の大学院ゼミ。
 面白い女性が児童学の大学院に入ってきました。
 保育士でシングルマザー。ドイツのおもちゃを輸入する会社を起業、愛知県の小児病院の保育士を4年経験したHさんは、病院という組織内のヒエラルキーの一番下である自分を悔しく思い、パワーアップするために来年にはベルリンに留学を予定しています。

 「私の夢は養護施設をつくることなんです。親のない子は私のところに寄ってらっしゃい!って思うんですよ。」とHさん。
 
 さまざまな事情が重なり、私の二番目の子どもは7歳まで養護施設にいました。彼女を応援したいなと思いました。複雑だけど正直な気持ちです。 

 http://www.partner-marriage.info/c9.html


香山リカVs塩野七生

 12月2日のノートブックで、香山リカさんが書いた『〈雅子さま〉はあなたと一緒に泣いている』(筑摩書房)と『結婚がこわい』(講談社)を紹介したが、斬新なタイトルがついている前者より後者のほうが中身はずっと濃い。

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 香山さんは、『結婚がこわい』のなかで女性の自立指数、非婚指数を以下の3つに分類して、今の若い女性たちは3つ目の状態に移行していると言う。
「生活レベルが下がったりやりがいを失ったりしないように、たとえ結婚はしなくても私は働く」~自立指数、非婚指数も一番高い状態
「親と同様に依存させてくれる人がいないなら、結婚しないで働く」~自立指数は低く、非婚指数は高い状態
「なんでもいいから依存をさせてくれる人と結婚するのがラク」~自立指数がさらに下がり、その結果として非婚指数だけがやや下降する状態

 香山さんは続ける。
 「社会に出るのはこわいから、たとえ生活水準が落ちてもいいから、誰かと結婚して食べさせてもらいたい」という若い女性が本当に増えているのだとしたら、それは「経済的レベルが下るぐらいなら結婚したくない」と女性が考えていた時代よりも、「不安」「恐怖」の程度がさらに増大した結果なのではないか。
 「ラクをするためなら、たとえ貧しくなっても結婚したい」という若者は、「結婚、出産は人間として自然、当然」と考える国と歩調が一致している。国としては、「ラクこそすべて」とかぎりなく依存的な若者が増加し、その結果、結婚や出産が一時的に増えることになったとしても、「非婚対策、少子化対策がうまく行った」と考えるのだろうか。結婚や出産に“逃げ込む”ラク志向の若者たちは、決して塩野七生氏が想定しているような“立派な人たち”ではないことは、リーダーたちも知っておいたほうがいいだろう。
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 塩野七生さんの提案(想定)は次のようなものである。 (2005年1月1日日経新聞少子化特集)
・子どもを持つ家庭に徹底的な経済支援をすべきだ。税金の控除のような中途半端なものでは駄目。
・キャリア面でも子持ちの人が得をする制度をつくる。
・子育てをできる女性は有能なので子どもがいる女性は企業で1階級昇進させる。
・子どもが2人以上いる社員は終身雇用を保証する。


 新聞や雑誌は、こうした状況を「女性の結婚願望が増大」[保守的な価値観の揺り戻し]「多様化する子育て支援」「女性の就労環境の改善」などと論評するだろうけど、事態はもっと複雑なはず。結婚や出産に“逃げ込む”ラク志向の若者たちに徹底的な経済支援をしたり、終身雇用を保証するなんて、あり得ます?そんな「死に銭」払う企業、どこにありますねん?


ベビーシッターの適正価格とは

 10月7日のノートブックで、アエラ(2005年10月10日号)の「“仕事と育児の末、がんに”の記事に 読者からの反響 痛哭の共鳴手記」を取り上げましたが、きょうはその第2弾です。

 「それからが大変でした。双子なので風邪を交代にひき、病気になるたびに高いお金を出してシッターさんを雇いました(2倍料金の1日2万8000円!)。

 これを読んで、私は最近届いたセコムからのDMを思い出しました。家事サポート、あんしんサポート、トラブルサポートなど、あらゆるサポートを展開するというお知らせで、そのなかにベビーシッターも入っていました。ベビーシッターは、「2時間 6300円(税込)(初回トライアル料金) 2回目以降のご利用につきましては、お問い合わせください。」と書いてあります。

 電話で問い合わせてみました。

 「2時間を超えるとどうなるのですか」「シッターさんは保育士や看護士などの資格をもっているのですか」「毎日同じ人に来てもらえるのですか」「月極などの料金システムはあるのですか」などと幾つか質問しました。
 担当の男性ははっきり言ってとても頼りなく、このサービスは、セコムに警備を頼んでいる家庭専用であること、東京と神奈川の一部で展開を開始、11月に神奈川の残りと大阪、芦屋でも始まるということ、2時間を超えると1時間につき3150円ということ、18時以降は25%増しであることを説明しただけで、後のことは外注先に問い合わせて、折り返し連絡すると言いました。

 しばらくして電話がかかってきましたが、彼が話したのは「お客様が希望する資格をもった人を派遣します」「いつも同じ人というのも可能です」ということのみ。料金のことについては触れませんでした。

 1日4時間、平日5日間シッターを頼むと、一ヶ月で約27万円。これでは、母親が日給13000円もらっていないと元も子もないばかりか、夫の給料の大半が消えてしまうのでは? 少なくともこれでは子育てビジネスであって、子育て支援ではないです。 

 弁護士の相談料が1万円でも、毎日相談するわけではない。ピアノレッスンが一回5000円でもせいぜい週に一回です。しかし、切実に必要な人にとってのシッター代は、牛乳を毎日一パック買うと月5000円、隔日ならば2500円というのと同じ類の出費だと思うのです。

 そう考えると本当に高いです。
 母となったために仕事をやめた女性は、他人に頼むとこんなに高い労働をタダでやったうえに、自分の仕事を続けていたら得ていたはずの収入を失ってきたのだと思います。

 たまたま仕事と両立しているように見える人がいても、実家の近くに引っ越したとか、時間を持て余している親と同居していたり・・・。そこには他人には見えない葛藤も必ずあるはずです。
 
 ユーザーにとっては高いと思う料金も、1時間3150円のうち、幾らがシッターの取り分なるのかな。プロ性をしっかり発揮してもらえれば、有資格者のパートとしては別に高くはない・・・。

 シッターと直接交渉するしかないですね。

 45年前、私が幼児の頃、母は専業主婦でしたが、私の家には低賃金の住み込みの女中さんがいました。今ではよほどのお金持ち以外、夢のような話です。

 ところで、セコムが提供するレギュラークリーニングは、1時間あたり1名、4500円、月2回以上の契約。月2回で9000円ならやってもいいかなと思いました。「お試しで、一回頼んでみてもいいのですか」と尋ねたところ、いいそうです。毎週頼んでも18000円。“ホテル暮らし”が理想である私は、一度試してみようかなと思います。

 1時間でどのぐらい綺麗にしてくれるのかな。

(追記 10月17日)
 このノートブックを読んだ母から、この書き方では、子育てのために女中を雇ったように誤解されてしまうと言われました。父と母が結婚する以前から、祖父・祖母は自分たちの世話をする女中を雇っていて、その頃は住み込みの店員もいたそうです。


若い男女の“乏しい想像力”

 この三連休の間、東京でのレッスンは代講の先生に任せて、京都のマンションにこもっています。夏から引きずっている締切間近の3つの論文にメドをつけ、今月末の学会発表の段取りを決めようと思っていたにもかかわらず、2日目が終わってしまったのに、仕上がったのは1本だけ。かなり焦りが出てきました。

 というわけで、一般の人々の反応(2)のNo.5のアップロードは少し遅れますが、「法律家がこんな引用の仕方をしていてはアカンのじゃないの」というサンプルを出す予定です。鳴り響く音を、子どもたちの表情を言葉にして表現することの限界に感じている私のような音楽家と違って、法律家の書く文章はもっと精緻であるべきです。

 さて、きょう、次のようなニュースが出ていました。
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少子化対策 児童手当7割「有効」 用途に疑問「家計の足し」3割 女性意識調査

 内閣府の「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」で、少子化対策に効果的な施策として、七割近くの人が児童手当の拡充など「経済的支援」を挙げていることが八日、分かった。ただ、児童手当を受給したことのある人の約三割が「家計への足し」を用途として挙げており、経済的支援の効果に疑問符もつく結果となっている。
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 調査は今回が初めてで、今年二月から三月にかけ、子供を持つ二十-四十歳代の女性四千人を対象に実施(有効回答率は56・5%)した。
 少子化対策で重要な施策について複数回答で聞いたところ、経済的支援措置が69・9%で他を引き離してトップ。次いで保育所などの拡充39・1%▽出産・育児休業や短時間勤務37・9%▽再就職支援36・1%-の順。
 経済的支援の具体的な内容としては、保育料・幼稚園費の軽減67・7%▽乳幼児(例えば六歳未満)の医療費無料化45・8%▽児童手当の金額の引き上げ44・7%▽児童手当の支給対象年齢の引き上げ42・5%-などが多かった。
 児童手当については75・6%が「少子化対策に役立つ」と答えた。ただ、受給経験者の利用目的は「特に用途は決めず月々の家計に足して使う」(30・1%)が最も多く、本来の「子供のミルクやおもちゃ、衣服などの子育て費用」(28・0%)などを上回った。
 児童手当は小学校三年までを対象に毎月第一、二子は五千円。第三子以降には一万円が支給される制度(所得制限あり)。国会では、公明党が来年度から支給対象を「小学校六年まで」に引き上げるとともに、所得制限を大幅に緩和することを求めている。
(産経新聞) - 10月9日2時56分更新
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 児童手当が「家計への足し」になっているのと同様、今、大学の奨学金も「家計への足し」になっています。しかも、その大学生の「家計への足し」ではなく、その大学生の親の「家計への足し」と化しているようですよ。

 若い男女の“乏しい想像力”がおよぶのは、保育料・幼稚園費、乳幼児の医療費、児童手当の金額と支給対象年齢など、近い未来のことだけのようです。本当にお金がかかるのは、子どもが大学受験から大学生の頃。年功序列の賃金制度が崩れ、現在、経済的に苦しい中高年世代が溢れています。体力は昔より上がっているというのに、皮肉な現実です。

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中高年世代、敏しょうに 文科省の運動能力調査

 青少年の体力は落ちているのに対し、中高年層は反復横跳び(20秒間にラインをまたいだ回数)が一部で過去最高を記録するなど敏しょう性が向上していることが9日、文部科学省の2004年度体力・運動能力調査で分かった。
 文科省は「最近の中高年層は、運動の重要性を理解し、日ごろから体を動かしているためではないか」とみている。
 調査は6歳から79歳の約7万3000人を対象に実施。今回は中高年と青少年の運動能力について1985年度と比較するなどして中長期的な変化を追った。
 成人については、35-39歳、45-49歳、55-59歳の3世代を男女別に、反復横跳び、握力、急歩の3種目で比べた。その結果、反復横跳びの平均回数は、いずれも85年度より上昇した。
(共同通信) - 10月9日17時3分更新


子育てのストレスがガンの原因か

 「“仕事と育児の末、がんに”の記事に 読者からの反響 痛哭の共鳴手記」

 普段あまり週刊誌を買わないのですが、久しぶりにアエラ(2005年10月10日号)を買って読みました。美容院で先の“仕事と育児の末、がんに”(9月12日号)を読んでいたのと、この特集は、「事実婚 私たちの満足」(2月14日号)で「最高裁パートナー婚解消訴訟」を紹介してくれた平岡妙子記者が担当しているので。

 そういうわけで、10月10日号のアエラをもとに何回かにわたってこのノートブックを書いていこうと思います。

 夫婦ともに地方出身のため、だれにも頼れず働きながら育児をした結果、夫婦ともにがんになってしまった人の話。

 確かに本当に気の毒ですが、ストレスがあるからといって必ずガンになるとは限らない。

 気の毒と言えば、同じ号で紹介されていた、代議士、佐藤ゆかりさんも気の毒です。90年に母親がガンで、97年に父親が大動脈瘤破裂で、98年に兄が心臓発作で次々と亡くなったのですから。

 「夫婦ともにがんになった」という記事を読んで、育児でストレスがたまるとガンになる可能性が高くなるのだなと思ってしまう人もいるでしょう。でも、私は、子持ちの女性が、自分の健康に気を配る精神的、時間的余裕がないことが一番の問題だと思います。

 「胸に大きなしこりをみつけた」
 どうしてそんなに大きくなるまで気がつかないのでしょう。

 私は2度目の出産で死に掛かって命拾いしてから13年間、「健康はデザインだ」と思って生きてきました。2月に大腸ファイバー、5月に骨密度、大学での一般検査、6月に子宮体・頸ガン、10月にマンモグラフィー、10月か12月に胃がん検査、11月に京都府民の一般検査を受けています。PET-CTを導入した京都の病院もあるので、受けてみようかなと思っています。検査代は高いけれど、私の人生は元気に仕事をするためにあるのですから、必要経費みたいなものです。

 検査で早期発見をしても手遅れになることもある。私の医科歯科時代の一年先輩の胃がん専門医も、早期発見をしてもダメだったという“たちの悪い”ガンにかかって亡くなりました。彼は私に次のように言っていました。「レントゲンと胃カメラを交互に半年毎に受けるのが理想」と。でも、自分が死んでしまいました。

 それでも、検査って大事だと思います。まず何よりも子どもが優先、という日本の子ども優先の家庭観が、どうしても女性の体の健康管理を後回しにしているのです。今回の記事を読んでそう思いました。

 昨日風邪をひきました。まだ少ししんどいですけど、いつもの“秘密の療法”でもう快方に向かっています。この“秘密の療法”によって、私はまず体の不調を他人に気づかれることはありません。

 こんな私でも、自分の体調よりも気になることがあります。それはコンピュータの不調!! 

 現代におけるもう1つの病理です。


あっちをたてれば、こっちがたたず

 平成17年の上半期、前年度の同期間と比べてさらに子どもの数が減ったらしい。今年の夏、妊娠している女性たちが街のなかで目立っていたので、少子化対策も効果が出てきたのかなと思っていた私には予想外の数値だった。
以下がそのグラフ。

厚生労働省:「人口動態統計速報」平成17年6月分

 年金制度などが破綻しそうだから始められた少子化対策だったはず。でも、子どもの数は増えないまま、生まれてきた子どもは全員保育園に入れるようになり、延長保育、24時間保育とどんどんと拡大し、子育てに関して日本は共産国家でも目指すのかな。私が子どもを産んだ16年と13年前、もしこうした国家が実現していたら、「私は産むだけ」という特殊な宣言をしなくても済んだかもしれないな。

 でも・・・・
 わずかな助成金で夜間保育を強要されている保育園は今悲鳴をあげている。そこで働く人たちの労働環境はどうでもいいの? 彼女たちの中には働くお母さんもいるのに。労働環境が悪い若い世代の増加は、結婚そのものができにくくなるため少子化につながるのではなかったの?
 
 子育て支援NPOなどで働く子育て経験者の女性たちの賃金はどうなっているの? ボランティアやボランティアに近い低賃金労働者に甘んじろというわけ?安定した収入をもち、休業補償を満喫している女性たちの子どもの面倒を、経済的に恵まれないボランティア女性がみる・・ホントにそれでいいの?

 私は音楽教育の研究者でよかったなと思う。もし、子育ての社会化や女性の労働問題の専門家だったら、あっちをたてれば、こっちがたたずで、頭が割れそうだ。


・・・関連記事・・・
児童施設を集中整備へ=子育て支援で予算6割増-厚労省

 厚生労働省は22日、児童福祉施設を整備する地方自治体を財政支援する次世代育成支援対策施設整備交付金を、2006年度に大幅に増やす方針を固めた。待機児童を解消するための保育所整備など、子育てをしやすい環境づくりに集中的に取り組む。同年度予算概算要求に前年度(167億円)比6割増の270億円程度を盛り込む。
 政府は04年12月、今後5年間の「子ども・子育て応援プラン」を策定。数値目標として(1)保育所の受け入れ児童数を04年度の203万人から09年度に215万人に拡大(2)虐待・非行問題に対応する児童家庭支援センターを04年度の51カ所から09年度には100カ所に増設-などを掲げた。
 厚労省は交付金を活用し、目標達成に向けて各児童施設の設置数を全国的に底上げする考えだが、05年度の場合、交付金で対応できる予算の2.5倍近い要望が自治体から寄せられ、ニーズに十分応えられていないのが実情だ。
 同省は、日本の総人口が06年をピークに減少に転じると見込まれる中、住民が必要とする子育て支援サービスを自治体が提供できない状況が続くと、政府全体の少子化対策にも影響を及ばすと判断した。06年度予算に計上する交付金を大幅に増額することで、環境整備に努める考え。 (了)
(時事通信) - 8月23日12時56分更新


私の少子化対策

 日経新聞8月13日夕刊に小長谷有紀さんのウィットに富んだ文章が載っていた。

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 個人的な少子化対策 
       国立民族学博物館教授 小長谷有紀

 むかしむかし、私がまだ女子学生だった頃、留学先のモンゴルで親しくなった男子学生から付き合いを申し込まれて「子どもができると困るから」と断わったことがある。すると即座に「産んでいけ! 」と言われた。そのまま勧めに応じていたら、今頃、私はおばあちゃんになっていたかもしれない。
 当時、モンゴルは社会主義のもので積極的な人口増加政策を採っていた。学生の半数を占める女子の大半が母となり、赤ん坊たちは草原に暮らす祖母のもとで養育されていた。一人の女性が生涯で産む子どもの数は6.65人であった。
 市場経済に移行してからは、子育てが経済的負担と感じられるようになり、みるみるうちに合計特殊出生率は下ったものの、いまだ2.27人である。
 子どもが生まれてから入籍するのが一般的で、入籍しても、そもそも父の名をファミリーネームに代えて用いるために母と父と子のファミリーネームはすべて違う。それぞれ子連れで再婚したので、すべての子のファミリーネームが違うという事例も少なくない。すなわち、家族といるのは生活であって、名前ではない。結婚というのは生活であって、制度ではない。
 もちろん、産む、産まないは個人的な選択である。ただし、モンゴルでなら産んでもいいという日本人女性の証言は多く、実践例も多い。となると、社会環境に応じているという意味では社会的選択であろう。だから制度改革は必要であり、それでもまだ十分ではない。
 どう力んでも産めやしない男たちの、育てる心がまえ如何で決まるのだと言っておきたい。
「産んでいけ、僕が育てるから!」と言ってみてよ!

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 私は「産んでいけ、僕が育てるから!」と言われて子どもを産んだ。一度目は16年前、二度目はその3年後。

 モンゴルと違ってここは日本だから、それは“「母による監護の放棄」というべき内容で、「出産請負契約」「人身売買」との印象を与えかねない様態”となってしまうらしい。(民事判例研究 第1回 婚姻外男女関係の一方的解消と不法行為責任の成否 立命館大学法学部助教授 本山敦 「法律のひろば」2005年5月号))

 「産んでくれ、君が育てるのなら!」と言われて産まなかった女たちと大違いかといえば、ほとんど違いは無い。私の背後には、子どもを産まなかった多くの女たちがいる。

 でも、私は個人的に少子化対策したわよ!  うふふ。


育児のアウトソーシング

 「働く女性を支援することで少子化傾向に歯止めをかける」という政府の方針は、少子化の歯止めに対してはまったく効果無しですが、派生的な効果を生み出しています。その1つが、“育児のアウトソーシング”が意識の上では認められるようになったこと。子どもを産んでも母親に働いてもらうためには、誰かが母親の代わりをしなければならないのだから当然といえば当然です。

 昨今、祖母が孫の面倒をみていることに対して社会は非難しなくなったばかりか推奨さえしているように感じられます。“育児のアウトソーシング”は知らない間に祖母まではOKになったみたいですね。

 しかし、無職で健康な祖母が同居しているか、近くに住んでいるとは限らない。遠隔にいる場合もあるでしょうし、健康上の理由などでできない場合もあるでしょう。これから生涯現役が増えると、“孫育て”になんかに手が廻らない老人が増えることも考えられます。高齢化により、祖父母の父母が生きていて介護が必要ということももう現実にあちらこちらであるし、経済的に余裕がなくて定年後も働かなくてはならない老人も出てくるに違いありません。

 社会的な意味での“育児のアウトソーシング”はどこまでが「公序良俗」に反しないのでしょうか。保育園の場合、現状では、延長保育はOKだけど、24時間保育はまだNGなのでは?

 京都・東山三条に長年夜間保育に取り組んでいる保育園があります。先日開かれた京都の保育園と京都女子大との懇談会で「あそこは、祇園で働く人が多い土地柄だから・・」と保育関係者は言っていました。まるで、延長保育や24時間保育は夜間に働く看護士か水商売の女のためにあるような口ぶり。職種によっては、オンとオフの境目がはっきりとしない人や、オフのときにどれだけ資料を読めるか、調査できるか、実験できるか、練習できるかで仕事への評価が決まる女性たちも多いのに、保育関係者はまだまだ一元的にしか見ていません。

 あのいわさきちひろも長野の義母に乳飲み子を預けて、子どもの絵を描くことに集中したのはほとんどの人が知らない事実です。保育園もなかった時代、夫が弁護士を目指して無収入だったので、生活を支えるために義母に子どもを預けて絵を描き続けたといいます。たぶん彼女には後ろめたい気持ちがあったに違いありませんが、誰もいわさきひちろの夫が勉強のために育児をしなかったことを非難しなかっただろうし、今でも非難されないでしょう。逆ならば、「本当に意欲があるのなら、子育ての合間にでも勉強できるでしょ」なんて周りに言われて、おそらく弁護士になりたいという夢は叶わなかったと思うのです。

 何か志を持っている男が育児をしないのは、昔も今も「公序良俗」に反しない。

 「公序良俗」を切り口に、私は、法学者の水野紀子さんが書いたパートナー婚解消訴訟の解説 (「平成16年度重要判例解説」)に対してコメントするつもりなので、しばらく「公序良俗」にこだわってみることにします。

 「公序良俗」って何ですか。


母親が専業主婦という条件

 私にピアノを習うSちゃん(女児・5歳)のお母さんは、弁理士の資格も持つ銀行のフルタイムワーカーである。この間レッスンが終わった後、「うちは公立の小学校に進み、中学校で私立を受験させようと思う」と話した。その訳は私立小学校は母親が専業主婦でなければ合格できないからだとか。「これからの女の子は職業に就くことが当たり前だし、女子校でも東大○○名合格というのがウリなのに、お受験小学校に通う子どもの母親がなぜ専業主婦でなければならないのか腑に落ちない」と言う。

 数日後、ピアノの先生で親友のGさんにこのことを話したところ、「私の知り合いの弁護士夫婦の子どもも落ちたらしいよ。母親が働いていたら絶対に合格できないと塾の先生に言われたのに敢えて受けたのだけど。弁護士をやめるわけにもいかないじゃない。」

 母親が専業主婦であることを入学の条件にしている私立の小学校の関係者は、名門大学に送り込むところまでは関心はあっても、キャリア形成には関心を持たないのだろう。本当はそこからが大事だというのに!!

 Sちゃんは頭がいいことが一見してわかるような演奏をする。一度聞いた語句は絶対に忘れない。どこかの私立小学校は“大きな魚”を逃している・・・・。


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