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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

“人生の一時期、違う働き方をしよう”という大号令

 子育て中の人の働き方について、企業がさまざまな工夫をしているという記事があった。

http://www.asahi.com/job/special/TKY200511160231.html

 フルタイムで働く人との不公平感を是正できたとしても、制度が作られる前に出産でやむなく退職した女性がもつ不公平感はどうするのだろう。職場での滞在時間で給料を決めるの? 50%、60%、70%・・まるで計量カップのようだなぁ。

 大学教員には仕事(研究)のほとんどを大学でやるというタイプと、大学では一切やらないタイプがいる。8月14日のノートブックで紹介した東大教授の船曳建夫さんは前者のタイプ。私は後者のタイプ。大学では授業と授業の準備、会議などの雑務しかせず、ピアノも弾かないし、本も読まない。職場での滞在時間だけで、両者の仕事量、仕事の質は比較できないと思うけどなぁ。

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新時短制度を模索する 給料も半分、仕事も半分…
 制度を利用しやすくするために、様々な改革をしている会社がある。ポイントは不公平感の是正だ。(AERA編集部・平岡妙子)
(AERA:2005年11月7日号)
 東京海上日動あんしん生命保険では、子どもが小さいうちは「仕事を半分、給料も半分」にするライフバランス社員という制度を2002年から導入している。
 勤務時間は午前10時から午後3時まで。昼食時間を除き、実働は4時間。フルタイム社員の基本は7時間だから、休日を増やすなどして労働時間が半分になるよう調整する。同時に、与えられる仕事量も半分になるよう、上司が調整。査定は与えられた半分の仕事を達成したかどうかで評価される。査定点数は減らないが、昇級ステップに差をつけて、フルタイムで働く人との不公平感を是正した。
 同社人事総務部の二村紀久江課長代理は、
 「どんな人にとっても公平だと思える制度を作るためには、ここまで思い切ったものでないと納得が得られません。育児中の女性が、何もかも捨てずに同じように働くのは難しい。ずっと頑張り続けるのではなくて、人生の一時期、違う働き方をすることも必要なのではないでしょうか」
 と言う。制度ができた当時は、
 「それでもみんなに迷惑をかけてしまうから」
 とためらう女性が多かった。二村さんが妊娠した女性と一人ひとり面談をして、
 「半分だとしても、その分きっちり働くことを会社は期待している。仕事も給料も半分と明確なので、会社も人の手当てがしやすい」
 と丁寧に説明をした。そこまでして不安を取り除くことで、この制度を使う社員が出てきた。
 「給料も半分だと、早く帰ることに後ろめたさがなくなった」
 と好評だ。
 
 雰囲気作りに上司研修
 さらに細かい制度を作っているのは高島屋だ。勤務時間が70%で給与も70%という働き方と、給与は変わらないが1日の労働時間が45分短縮、その分年間休日を減らして1年の労働時間は同じという二つの制度を、1991年に作った。その後、アンケートなどで社員の意見を聞き、時間と給与が80%、90%の選択肢も加えるなど、五つの制度に拡大した。女性社員の15%がいずれかの育児勤務制度を使っていて、男性の利用者もいる。小学校入学後も大変という声があったために、通算12年に制度を延長した。
 中川荘一郎人事政策担当課長は、
 「全体の人員が減っているので、制度があっても使いづらいムードがあるのは事実。ただ企業としては、人が入れ替わるより、経験豊かな人に勤務し続けてもらうほうが良い。取得しやすい雰囲気を作るために上司の研修もしている」
 日本IBMには、育児のほか介護や自分の体調が悪いときにも使える4種類の短時間勤務制度があり、週3日か4日勤務も選べる。時短に伴い、仕事量が60%や80%になる人は、給与も同じだけ削減される。ITエンジニアは担当プロジェクト数を減らすなど、仕事量の削減がわかりやすいが、それ以外の部門では仕事をどのように削減するか、上司が頭を抱えてしまう部署もある。そのために毎年の面談で、課題や目標設定をしっかり話し合うことが重要だ。
 労務担当の小玉道雄マネジャーは、
 「ゼロか100かという働き方ではなくて、短期間でも60や80の働き方を選べるほうがいい。仕事の割合をきちんと決めることで、上司や同僚も、育休明けの社員を受け入れやすくなる」
 
 部門ごとに選択肢を
 日本ゼネラル・エレクトリック(GE)にはフレックス、短縮勤務、一部在宅勤務などを、自分で組み合わせる「フレキシブルワークアレンジメント」制度がある。育休から復帰するときに、1日4時間、週2日しか会社に来ないスタイルを9カ月取ったあとに、通常勤務に戻った社員もいた。業績主義が徹底しているため、結果を出していれば、働き方は問われない。勤務時間の長さではなく、掲げた目標の達成を重視する会社は、少しずつだが増えてきている。
 医療経営コンサルタント会社のメディヴァは、社員17人で年商10億円を稼ぐベンチャー企業だ。会社の理念のひとつに「仕事と家族の両立」を掲げ、働き方を自由に選択できる。夜に仕事が入れば、ベビーシッター代は会社負担。子どもが熱を出したら休むのは当然で、周りがカバー。
 大石佳能子社長は言う。
 「管理者が不安になるから集まって仕事をしたがるが、かえって効率が悪くなることが多い。どこにいても仕事はできる。プライベートを大事にすることで、いい仕事ができると信じている」
 ハーバードで経営学修士(MBA)を取り、自らも小学生の子どもを育てている大石さんが効率と育児を追求した結果、学校帰りの子どもたちが会社に寄って社員に宿題を教えてもらうこともある家族経営的な雰囲気の会社になった。
 人事・人材育成を手がける「キャリアネットワーク」の河野真理子会長は、リストラで仕事量が増える一方の企業の中では、いままでの時短の制度では不公平感が出て、取得が厳しくなるばかりだと言う。
 「育児期間中は働き方を細くしながら、長く働ける制度を企業が模索する時代。会社全体というよりも部門ごとに、様々な働き方のバリエーションを作る必要があるのではないでしょうか」


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