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 このノートブックは、深見友紀子が原告となった裁判・最高裁パートナー婚解消訴訟の補足説明としてスタートしました。裁判の内容を知らないと理解しにくい文章があると思いますので、興味のある方は、下記サイトまでアクセスしてくださいますようお願いします。
http://www.partner-marriage.info/

筑波大学大学院“契約法・損害賠償法演習”

 6月12日
 筑波大学大学院で「女性労働問題」を研究している女性から、民法の丸山絵美子さんの“契約法・損害賠償法演習”のなかで「パートナー婚解消訴訟」を取り上げるので、私のコラムを資料として提示したいと連絡がありました。私はすぐにOKしました。

 この大学院生は原審(東京高裁)を支持し、最高裁判決は、原告である私が自立した女性であるゆえの偏見判決ととらえています。男性と女性との生物学的差異の見地がこの裁判では審理されていない、女性が性的関係を持つこと・出産すること・育児をすると社会的にどのように不利な立場に追い込まれるかを審理すべきとしていて、「子を遺棄するものではなく、子の養育を相手に委ねるというもの・・・」という私の主張に賛成の立場をとっています。

 私は彼女に次のようにメールで返信しました。

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 はじめまして。深見友紀子です。きょう、午後に東京を出て京都に戻りました。お電話があったこと、現パートナーから、連絡をもらっていました。
 日本の民事、しかも男女の問題について、当事者が公開しているものはほとんどないため、私は公開しました。なので、どんどん使ってください。
 日本の法律家たちが「法律婚と事実婚の線引き」にしか関心がないのにうんざりしていたので、女性労働問題の視点から考察してくれるのはとてもうれしいです。
 現在の私は大学教授です。自立した女性、社会的地位がある女性と評価されます。でも、私は二度目の大学を出たのが29歳の春でした。育児支援策も、育児休業などの補償もほとんどない時代に、変わった考えを持っていた被告と出会って、相手側が育てるという条件で子どもを産みました。現在でも、さまざまな面で保障されている大企業で働く女性でさえ、いつ産むか、何人産むかを悩んでいて、それが少子化の1つの要因になっていますよね。ヤマハ音楽教室の講師も産休で解雇になった私など、もしまともな母親役割をしていたら・・と思うとぞっとします。
 仕事と家庭の両立を目指して、疲れ果て家庭をとるような人や、両方に妥協をして両立している人よりもむしろ、私は仕事一筋で独身というタイプに近いと思っていますが、仕事と同じぐらい大切で、仕事を支えてくれるものが男女の恋愛なのです。子どもはどちらかというと二の次で、このあたりが最近のワーキングマザーと違う点です。彼女たちが書いたものや話しているものを読んでも、男の陰があまりないのです。私は、仕事と恋愛はどちらも大事、どちらかというと恋愛はスペアがあるから下位かなと思っているような、舞台女優などと似た気質だと思います。
 女性の労働というときに、普通のOLは登場しても、普通の芸術家や芸術関係の仕事をしている女性がまったくといっていいほど登場しないことが気になっています。たまたま成功した絵本作家や小説家、アーティストが何を語っても、女性の労働環境はよくならないです。そういう意味では、子どもが2人いて、自分で育てなかったために仕事があり、それも自由業とかではなく、芸術関係の大学教授という私の事例は面白いのではないかと思っています。
 質問があれば、また連絡をください。
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 演習の指導教官、丸山絵美子さんは東北大学法学部の出身らしく、「本件の出産に当たっての合意は、子の遺棄を内容とする契約であって極めて違法性が強いものである。」と述べた水野紀子さんとも同窓ということですが、どういう演習が行なわれるのか興味深いです。

 水野紀子さん(平成16年度重要判例解説 ジュリスト臨時増刊6月10日号(No.1291)p.78~79 有斐閣)に対する私の反論は、以下です。
http://www.partner-marriage.info/hannou_2_1-comment.html


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