深見友紀子 最高裁・パートナー婚解消訴訟 オフィシャルサイト

最高裁判決に関する報道記事 | 新聞記事

朝日新聞: 結婚しないパートナー関係、一方的破棄でも慰謝料認めず

 子供はもうけたが、互いに束縛しないよう法律上の結婚はせず、住まいも生計も別にして好きなときに行き来する――。こんな関係にあった男女の片方が一方的に別れを告げた場合、もう一方は慰謝料を請求できるかが争われた訴訟の上告審判決が18日あった。最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は「婚姻やこれに準じるもの(内縁)と同じように法的に保護する必要は認められない」と指摘。一方の意思で関係が解消されたとしても当事者に法的義務は発生しない、との初判断を示した。

 当事者の男女は自分たちの関係について「パートナーシップ」などと呼び、新たな男女関係のあり方としてマスコミでも紹介されていた。結婚観が多様化する中で、最高裁の法的な判断は注目される。

 原告は大学教員の女性(47)、被告は会社員の男性(49)。一、二審判決によると、2人は85年以来、合意の上で「パートナーシップ」の関係を続けてきた。互いの家の合鍵を持ちあうことはなく、共有する財産もなかった。男性の希望で2子をもうけ、嫡出子とするために一時的に婚姻届を出したが、すぐに解消。養育責任はすべて男性側がもつことになっていた。

 その後、男性は知り合った別の女性との結婚を考えるようになり、01年に関係解消を通告したため、女性は慰謝料を求めて提訴。一審は「関係の継続は強制できない」と請求を棄却したが、二審は「女性は関係継続の期待を裏切られた」として100万円の賠償を命じ、男性側が上告していた。

 上告審判決で同小法廷は、2人は共同生活をしたことが全くない▽2人は意図的に婚姻を回避している▽双方がこうした関係を将来にわたって続けることまで合意していた形跡はない――などと指摘。「一方的に関係を解消されたことで不満を抱くことは理解できるが、それをもって慰謝料請求権が発生する不法行為とは評価できない」と認定し、二審判決を破棄して女性側の請求を退けた。

日本経済新聞: 「結婚せず協力関係」破棄、慰謝料認めず・最高裁

 結婚も同居もしないが互いに協力し助け合う「パートナーシップ関係」を約16年続けたのに、一方的に関係を破棄されて精神的苦痛を受けたとして、東京都の大学教授の女性(47)が相手の会社員の男性(49)に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が18日、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)であった。

 同小法廷は(1)共同生活をしたことはなく生計も別(2)両者は意図的に結婚を回避していた(3)一方的に関係を破棄してはならないという合意はなかった――などの事情を挙げ、「関係存続について女性に法的な権利はない」と判断。男性側に慰謝料100万円の支払いを命じた二審判決を破棄、女性側の請求を棄却した。女性側の敗訴が確定した。

 1、2審判決によると、女性は1985年に男性と婚約したが、「特別の他人として親交を深める」と翌年に婚約を解消。その後、家を行き来するなどの関係を続け、男性の希望で長女と長男を出産し男性側が引き取った。男性は2001年、「今後は今までのような関係は持てない」との手紙を女性に渡し、別の女性と結婚すると告げた。

読売新聞: 2人出産・別居16年、関係一方的破棄でも賠償認めず

 婚姻届を出さずに別居しながら子供2人をもうけ、約16年間にわたりパートナー関係を続けた大学教授の女性(47)が、相手の会社員の男性(49)から関係解消を突然告げられたことに対し、慰謝料500万円を求めた訴訟の上告審判決が18日、最高裁第1小法廷であった。

 横尾和子裁判長は「別居し、共有する財産もないうえ、子育てでも協力しておらず、関係存続の合意もないことは明らかで、賠償請求権があるとは言えない」と判断。

 男性に100万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決を破棄し、請求を棄却した。女性の敗訴が確定した。

 「内縁」や「事実婚」については、婚姻届を出した法律婚と実態が同じなら、賠償や財産分与などの法的保護を認めるのが通説だが、現代型のパートナー関係の中には保護が認められないものもあることを示す判断で、議論を呼びそうだ。

 判決などによると、2人は1986年、婚姻届の提出を取りやめ、「特別な他人として親交を深めることに決めました」と友人らに宣言。同居はせず、長女と長男をもうけた時だけ婚姻届を出して、出産後、すぐに離婚手続きをした。子供の養育は男性の母親や施設に任せたが、旅行に一緒に行くなど関係は続いた。

 ところが、2001年に男性が、別の相手と結婚することを女性に告げたため、女性は「パートナーシップを破壊され、精神的損害を受けた」として提訴した。

 1審・東京地裁は請求を退けたが、2審は、「関係継続への期待を一方的に裏切った責任は免れない」として賠償を命じていた。

毎日新聞: 結婚せず独立生計「パートナー」解消男性、賠償義務なし 最高裁初判断

 同居せず互いに独立して生計を立てる「パートナー関係」を約16年にわたり結んできた男女の一方が関係解消を求めた場合、損害賠償義務が生じるかどうかが争われた訴訟の判決が18日、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)であった。判決は「相互間に『関係を解消してはならない』という合意がない以上、関係存続を求める法的権利はなく、賠償請求権はない」と初判断。関係解消を図った会社員男性(49)に100万円の支払いを命じた東京高裁判決(昨年8月)を破棄し、大学教授の女性(47)の請求棄却を言い渡した。男性側の勝訴が確定した。夫婦別姓など夫婦関係が多様化するなかで示された判決は、今後論議を呼びそうだ。

 判決などによると、男女は結婚直前の86年3月に婚約を解消し、知人に「スープの冷めないくらいの近距離に住み、特別の他人として親交を深める」とする書面を郵送した。以来、住居は別々で共有財産を持たない関係を続け、2回の出産の際だけ子供のために結婚してはすぐに離婚して、育児は男性側が担当した。しかし男性が01年、別の女性と結婚するため関係を解消したため、女性が500万円の慰謝料を求めていた。

 判決は「女性は2人の子供の養育に一切かかわりをもっておらず、両者は意図的に婚姻を回避してきた」と述べた。そのうえで「男性が一方的に関係を解消したことで女性が不満を抱くことは理解できるが(法的に)関係存続の保障を認める余地はない」と結論づけた。

 東京地裁は02年12月、「永続的な関係とは言えない」と女性の請求を棄却したが、東京高裁は「関係継続への期待を裏切った」と男性に100万円の支払いを命じた。

産経新聞: 男性側の賠償義務認めず パートナー解消訴訟で最高裁

 約16年にわたる夫婦同然のパートナーシップ関係を突然、一方的に解消され、精神的苦痛を受けたとして、大学教授の女性(47)が、会社員の男性(49)に慰謝料を求めた訴訟の上告審判決が18日、最高裁第一小法廷で言い渡された。

 事実婚にも当たらない関係が法的保護に値するかが争点だったが、横尾和子裁判長は100万円の支払いを命じた二審東京高裁判決を破棄、「不満は理解できないこともないが、不法行為と評価することはできない」として請求を退けた。

 判決理由で横尾裁判長は、(1)住居、生計は別で、共同生活をしたことがなく、共有財産もない(2)女性は自分の要望で子どもの養育に一切かかわらず、相当の出産費用も受け取った(3)両者は意図的に婚姻を回避している(4)関係存続の合意がされた形跡はない−と指摘。

 その上で「関係存続の保障を認める余地がないことはもちろん、男性が女性に何らかの法的義務を負うとは解釈できない」と結論付けた。

 判決によると、2人は1985年に知り合い婚約したが、翌年解消。その後も付き合いは続き、子どもを2人もうけたが、男性は2001年に関係の解消を告げ、別の女性と結婚した。

 二審判決は「破たんさせたのは、関係継続の期待を一方的に裏切るものだ」としていた。

中日新聞: 「パートナー関係」維持の義務無し最高裁 女性側が逆転敗訴

 結婚や事実婚ではないが別居しながら二人の子をもうけるなど、約十六年に及ぶ男女の「パートナー関係」を、相手の男性の結婚で一方的に解消されたとして、大学教授の女性(47)が会社員男性(49)とその妻に慰謝料五百万円を求めた訴訟の上告審判決が十八日、最高裁第一小法廷であった。横尾和子裁判長は「婚姻や内縁関係とは異なり、関係を維持する法的義務はない」と述べ、男性だけに慰謝料百万円の支払いを命じた二審判決を破棄し、女性の訴えを退ける逆転判決を言い渡した。

 判決によると、この女性と男性は一九八五年、結婚制度への疑問から、お互いの自宅を行き来して仕事面でも協力し合う「パートナーの関係」を結ぶことで合意。女性が二人の子どもを出産した時期に、二度にわたり結婚してすぐに離婚する手続きを取った。子ども二人は男性の親に引き取られたり、一時的に施設に預けられるなどした。

 二〇〇一年に男性が別の女性と結婚するため、女性に関係の解消を告げた。訴訟では、同居せずに生計も独立した男女の関係が法的保護の対象となるかが争点となった。

 横尾裁判長は「二人は意図的に婚姻を回避している。女性は子どもの出産時に相当額の金をもらっているが、養育には一切かかわっていない。女性が不満を抱くことは理解できるが、慰謝料請求権はない」と述べた。

 一審・東京地裁判決は女性側の請求を棄却したが、二審・東京高裁判決は「合意に基づく関係を一方的に破棄することは許されない」として、男性だけに慰謝料の支払いを命じていた。

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